裏千家の風雲児?

裏千家

食事の席で、ヨシエおばちゃんが
「そういえば、松江でお茶を習うって話、どうなった?」
とやさしく微笑みかけてくる。
思いがけない質問に、大粒の生牡蠣がノドに詰まりそうになる。
そうなのだ。
お茶の盛んな松江に来たとき、「茶道」を習うつもりでいたのだ。
しかし…。「盛ん」なのも考えモノで、
いざ行ってみようと思うと、あまりの流派の多さにどこへ行って良いのかわからなくなる。
オマケにカルチャーセンターみたいなところでも、着物を着てお稽古をするのだ。
お茶を飲んでお菓子を食べて、ちょっとお行儀が良くなる…。
なんて、そもそも甘かったのだ!!
それに「茶道」なんかより、お団子を片手にお城の周りを散歩する楽しみを知ってしまったのだから、もう、ムリ!ってもんだ。
ヨシエおばちゃんが、「そーなんだー…」と
ニコニコ笑っていると、京都の旧家の遠戚が、
「いやあ、レイザルはん、習わはったらえーねん! よろしければ裏千家紹介しましょか?」
はわわわわ…。めっそうもございませんって!
「いやぁ、着物の着付けもありますし…」
「着付けもしはったらえーんですよ。自分で着れるようになったら、着て出かける所もできてきますよ」
と、なかなか逃がしてくれない。
「そういえば、ここへ来るまでにも着物を着ている女の子を見たワ。京都はやっぱり着物の人が多いねぇ」
と母が口を挟むと、
「ホンマ、あれやめてほしいワ。あんなペラッペラの化繊の着物着て京都歩かれたら、京都の格が落ちるよって。なぁ?」
と、京都人のカツエさんに相づちを求める。
京都人の同士のガチなホンネにさすがの私もドン引き。
ふと横を見ると、普段わたしにやりこめられているS叔父が、
「今日は分が悪いナ」とケタケタ笑っていた。

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