2月 022017
 

おじいさんが落ち着いたようだったので、
売り場を立ち去ろうとしたとき、知り合いKさんの声が聞こえた。
怪しげな能登弁でお年寄りをたぶらかしていると思ったらしい、
「レイザルさん、なにやっとるん!?」と目をむいた。
「いや、あの、オレオレ(詐欺)とかじゃねーですから…」
しどろもどろに答えながら、理由を説明する余裕もなく、
仕事のジャマをしてはいけないと思い、あいさつもそこそこ、
あたふたと失礼した。

翌日、改めて売り場を訪れると、
「おった、おった、ちょうどよかった!」と、
糀屋のおじさんが手招きしている。
おじいさんの奥さんがわざわざお礼に来てくれたのだ。

「昨日はすいませんでした。駅まで送ってもろて…」
「なーも、なーも。大丈夫でした?」
「降りる駅を間違って……でもなんとか戻りました」
「ああ、それを聞いてあっさり(スッキリ)した〜!」
と言うと、お礼にお菓子を渡された。
「あらぁ〜、かえって気の毒なぁ〜…(ありがとう)」と受け取った。

私のしらじらしい能登弁のやりとりを、
100%能登人のKさんはあきれて見ていた。

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