コンドルの血 ウカマウ集団 20060819
アンデスの先住民族の文化や暮らし、祭りなどをふんだんに盛り込みながら、圧倒的な貧富の差と差別という社会状況を告発する映画。よりよい暮らしは、みずからが武器をとって闘うことでしか勝ち取れない、という内容だが、その後のボリビアの革命運動の歴史をみると胸が痛い。
アンデスの村に住む夫婦が、伝染病で子どもをなくした。コカの葉で占うと、妻はもう子どもを産めない体だという。周囲では子どもを埋めない女性が増えていた。
呪いをとくため、山にミニチュアを埋め、香をたき、ケーナやサンポーニャを吹いて祭をもよおす。
実は、出産できなくなった女性たちには、米国人がたてた医院で受診したという共通点があった。強制的な不妊手術をしていたのだ。
村長になった主人公の男は、村人を集め、医院を襲う。だがそのために、警察に連行され、仲間は虐殺され、本人も重傷を負って町の病院にかつぎこまれる。
町には、インディオの風習を捨て、メスチソとして暮らす弟がいた。手術に必要な血液と薬を確保するため、町中をはしりまわる。自分たちは血液も買えない暮らしだというのに、プールとテニスコートのついた家に住む医者がいて、土産物店で買いあさる観光客がいて……
結局、主人公は死ぬ。弟はインディオの民族衣装をふたたびまとい、村に帰る。闘うために。
第一の敵 ウカマウ集団 20060819
60年代のペルーの農村ゲリラ闘争と、わずか7年前に殺されたゲバラの闘いを下敷きにしてつくられた作品という。狂言まわし役のおじいさんがなんとも言えない雰囲気をかもしだしている。
舞台は、横暴な地主に支配されるインディオの村。
地主が牛を盗んだことを抗議に言った男が、首を切られて殺される。
怒った村人たちは地主宅に押し入り、町まで連行し、判事に地主を引き渡す。だが、地主に抱き込まれた判事は地主を釈放し、逆に農民たちのリーダー5人を逮捕してしまう。
絶望と無力感に落ち込んでいた村に、白人の若者の集団がやってくる。はじめは警戒していた村人たちも、医療を提供し、一緒に畑を耕す男たちにしだいに親しみを感じてくる。
彼らは実はゲリラだった。村人たちに共に闘うように訴え、地主を拉致し、人民裁判にかけて死刑に処する。地主の横暴にさいなまれていた村人にとって、それははじめての「正義」の裁きだった。
暴力と無秩序が支配していた山村に「裁き」をもちこんだペルーのセンデロルミノソが力を伸ばした背景がよくわかる。
ゲリラたちが村をでるとき、それについていった村人は3人だった。「たった3人だけ」とがっかりするゲリラの男は「君たちも危ないから一緒に来い」と誘う。が、多くの男は村に残った。
村には軍が入ってきて、残った男たちを虐殺する。
米軍に指導された軍はゲリラを追跡する……。
ボリビアもペルーも武装闘争は成功しなかった。何千何万という人々の犠牲が積み上げられたのにちがいない。でも、そうした闘いがあったからこそ、先住民族の人々の人権運動が盛り上がり、昨年の大統領選の結果ももたらしたのだろう。