■生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由がある<岡檀>講談社 20131224
町おこしをがんばっている地域は生き生きとした人も多い。そういうところは自殺者が少ないのではないか、と思ったら、実は久万町は自殺率がとても高いといい、実際知り合いも自殺した。
明るい人が多いところは自殺者が少ないと思ったら、高知は多い。
ソーシャルキャピタル(つながり)が強いところは少ないのかと思ったら、秋田や島根のような田舎は多い。高齢化率が高いからでもあるのだろうが。
かといって自由が謳歌できる都会がよい、ともいえない。
一般にメキシコ人は自殺しないと言われる。あの明るさのせいなのだろう。
でも徳島県海部町(海陽町)はなぜか自殺者がきわめて少ないという。それがなぜなのか。
ソーシャルキャピタルだけではだめだ。みんな違ってみんないい、というある種の都会的な感覚と、ほかの人への高い関心の双方があることがよいらしい。なるほど。
調査方法という面でも勉強になる。
小規模自治体の自殺率は1人でも自殺者がでると大きく跳ね上がる。その場合は30年間の自殺者の統計を出す。高齢化の影響を排除する計算も必要だ。インタビューのやり方もジャーナリズムとことなる側面がある。
アンケートの質問項目は、既存の調査のものを極力利用し、インタビューで知りたい感じた質問を加える。アカデミズムの厳密さと方法論の練り上げ方に感心する。もう少し、勉強しておけばよかった。
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▽17 研究計画を練るには、同じテーマの研究を片っ端から読む。世界中の文献を集めたデータベースで検索する。博士論文を書くまでの4年間で参照した文献数は約500件。
学術論文だけでなく、書籍や雑誌、新聞にも広げて検索したら、海部町が出てきた。
しかしここで海部町にいきなり飛びついてはいけない(そこが新聞記者とちがう〓)。海部町を研究対象とする裏付けが必要。
徳島県の45旧市町村の30年間の自殺者数と人口データをすべて集めて、市町村ごとの自殺率を比較する計算をすることに。
▽21 海部町は両隣と比べても突出して自殺率が低かった。
「標準化自殺死亡比」年齢分布の影響を除去して比較するための指標。
比較すると、海部町は8番目に低い。10以内は海部町以外は「島」だった。
▽30 役場の各部署をあいさつまわり。
商業地区と、漁業地区の住宅は非常に密集。「地域のことを知りたければ、まず保健師さんに聞け」
▽36 ここの住民はよそ者に慣れているようだ。(遍路の影響?)
夏の宵、細い路地では、縁台に腰掛けておしゃべりしている。
▽37 当初はひたすらインタビュー 小6の児童たちから89歳まで。200人以上。
一対一ではなく、できる限りグループインタビューの形式。互いの記憶のほころびを補いながら会話を進める。「共同想起」効果。
▽39 赤い羽根募金が集まらない。「あん人らはあん人。いくらでも好きに募金すりゃええが。わしや嫌や」
(赤い羽根はけっこうな重圧〓、祭りの寄付)
海部町は「文句言い」が少なくなく、行政の福祉担当者は手を焼く。
海部町の募金額は周辺地域でもっとも少ない。
▽41 老人クラブ加入率も、周辺地域でもっとも低い。
自分ひとりがほかと違った行動をとったとしても、それだけを理由に周囲から特別視される、またはコミュニティから排除されるという心配がない。
▽42 朋輩組 江戸時代発祥の相互扶助組織。今も機能している相互扶助組織は、近隣ではここだけ。
よそものでも希望すればいつでも入退会できる。女性も拒まない。入退会は自由意思。ほかの類似組織との最大の相違点。
「だれに投票するかは、個人の自由や。人に強制やしたら、いまの言葉で言うたらなんじぇ、ダサイ、ちゅうんか。野暮なことやと言われる」と老人。
▽47 多様性を尊重し、異質や異端なものに対する偏見が小さく、「いろんな人がいてもよい」と考えるコミュニティの特性。
アンケート調査の質問項目。「あなたは一般的に人を信用できますか」全国で実施された社会調査の項目にそろえた。自殺多発地域のA町と比較。
▽52 海部町の教育長は、商議所に勤務していた41歳の男性が抜擢。こうした人事が30年前からおこなわれてきた。年齢や経歴にとらわれない人事。
年長者が年少者を抑えつけない「朋輩組」の特性。
四国にある相互扶助組織「若者組」のメンバーに聞くと、まったく上下関係がきびしくまったく異なっていた。
▽57 フィールド調査から、「このあたりが海部町に独特の要素ではなかろうか」というあたりをつけ、それらを検証できるような質問文と回答選択肢を、過去に実施された社会調査などを参照にしながらひとつひとつ考えていく。
選挙人名簿から無作為抽出。年齢階層ごとに分割し、それぞれから同数ずつ無作為抽出をする。
▽62 「自分のような者に政府を動かす力はない、と思いますか」
首長選挙が盛んで、長期政権の歴史がない。
「選ばれて議員になったからには、古参も新人も同等や。どんどん意見を言わんといけん」と若手議員は、初当選後に先輩から諭された。
「自己効力感」ストレス対処能力にも関連。
▽68 A町 「極道もん」と人から呼ばれるから、遠慮してデイにも週2回行きたいが、1回にしているおばあさん。
海部町は、デイケア行くのも「大いばり」
精神科医によると、海部町からくる患者は診察室へと向かう足音が「元気な足音」なのだという。
▽73 「病、市に出せ」 病気のみならず、家庭内のトラブルや事業の不振なども含めている。体調がおかしいと思ったらとにかく早めに開示せよ、という意味。やせ我慢や虚勢を張ることへの戒めがこめられている。取り返しのつかない事態にいたる前に周囲に相談せよ、という教え。
「でけんことはでけんと、早う言いなさい。はたに迷惑かかるから」
▽75 自殺多発のA町も、気象地域の海部町も、どちらも助け合いの精神は深く根付いている。
しかし、「助け合い」の本質に差異があるのでは?
b海部町では、私的な悩みを開示しやすい環境づくりを心がけてきた痕跡がみられる。A町では助け合いという行為自体を尊ぶ気持ちが強く、いざとなれば支援があることに安心を覚えつつも、自分の個人的な悩みを誰かに相談することについては強い抵抗を感じている様子がうかがえる。A町の高齢者が「迷惑」という言葉をよく口にする。
ひとりひとりが生きていくのに精一杯だった時代、それでもひとたび援助を求めれば、相手はどんな無理をしてでも応えてくれることがわかっていたからこそ、かえって「助けてくれ」と軽々しくは言えなくなってしまったのではないか。
(語り合う文化 自らをさらす ボヘ 面河の相の峰は?)
「悩みやストレスを抱えたときに、誰かに相談したり助けを求めたりすることを恥ずかしいと思いますか」
▽81 海部町のうつ受診率は周辺地区よりも高い。「あんた、うつになっとんと違うん」と隣人に面と向かって指摘する海部町。その話をA町でしたら反響が大きかった。A町では、うつに対して偏見が強く、オープンに話し合うような状況はほとんどなく・・・
▽83 プライバシー保護などまるで現実味がない。その一方で、隣人間のつきあいに粘質な印象はない。基本は放任主義であり、必要があれば過不足なく援助するというような、どちらかといえば淡泊なコミュニケーションの様子が窺える。
…「日常的に生活面で協力しあっている」と答えた人の比率は、海部町が15.6%であったのに対し、自殺多発地域であるA町は44%.海部町のつきあいは「立ち話程度」と「あいさつ程度」のつきあいに集中している。コミュニケーションが切れているわけではないのだが、かなりあっさりとしたつきあいを行っている様子が見えてくる。
▽85 ほかの地域の類似組織が事実上の強制加入であるのに対して「朋輩組」は入退会は個人の自由。…「当屋」という町内会によく似た組織の存在がある。当番にあたった年には、その地区の「当屋」が地域全体の世話を焼く。
学校のクラス内には特に仲のよい子がいなくても、家に帰れば近所の子どもたちと野球チームを組み楽しいので孤独感がない。…ちょっとした逃げ道や風通しをよくする仕掛けがあること、複数のネットワークに属していることが、コミュニティにおける人間関係の硬直化を防いでいると考えられる。
▽87 海部町には山林資源に加えて、大きな河川があり、さらに築港が整備されているという地の利があった。短期間に大勢の働き手が必要になった海部町には、労働者や職人、商人などが流れこみ…。この町の成り立ちが、周辺の農村型のコミュニティと大きく異なる様相をつくりあげていった。移住者によって発展してきた、地縁血縁の薄いコミュニティだった。
…江戸時代から始まった海部町の繁栄は、高度成長期に入り、国産の材木がアジア諸国の外材に駆逐されるまで続いたが、その後は急速に衰退していく。
▽90 自殺希少地域である海部町では、自殺多発地域に比べはるかにゆるい絆を有しているという新たな知見が、自殺予防を考えていく上での重要なヒントになると考えられる。
▽94 自殺多発地域であるA町にも対象を広げ、両地域を含む9町村役3300人の住民を対象にアンケート調査をして、希少地域と多発地域のコミュニティ特性を比較してみた。
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いろんな人がいてもよい、いたほうがよい
人物本位主義をつらぬく
どうせ自分なんて、と考えない
「病」は市に出せ
ゆるやかにつながる★
(国重に足りないもの。音楽会の役割)
▽96 海部町出身で、都会にすむ人にも、知り合いを紹介してもらってインタビュー。「機縁法」
「世の中にはいろんな人がいるものだ」と達観し、都会の環境にもつぶされなかった。…社会=多様性という図式を刷りこまれ、そのことがデフォルト(標準仕様)であると思って育つ。結果として、、異質な環境に放りこまれたときにも使える、弾力性と順応性が備わっていくのでは。
▽102 話題が盛り上がろうとするときに、水を差す、話の腰を折る者がいる集団。…集団が一気にひとつの方向へ進む。それがネガティブな方向にも作用する。「炎上」はその典型。…集団は均質であるより、異分子がある程度混ざっているほうがむしろ健全といえるのかもしれない。
▽108 海部町は「人に関心がある」「人に関心をもつのと、監視しているのとは違う」
▽110 地縁血縁の強い、人間関係の固定したコミュニティは、身分や役割は、資質とはかかわりなく、生まれ落ちたときからほぼ決められていた。(国重の場合〓) 「状況不変のコミュニティ」
海部町は「状況可変のコミュニティ」 リーダーを自分たち自身で決めなければいけなかったから真剣さの度合いがちがう。他者を観察し評価する完成や眼力が研ぎ澄まされていったのではないか。
アンケートでも、海部町はほかに比べ、リーダーを選ぶ際の条件として、年齢や職業上の地位よりも問題解決能力を重視する者が多かった。
▽112 噂が大好きだが、飽きっぽい。…よいことであっても、悪いことであっても、その評価が長続きしない。人への評価が固定しないように気をつけているように見える。
▽120 援助希求という行為自体を、肯定的にとらえる。そのメッセージを、地域社会が発信しつづけていること。「病、市に出せ」と唱えるだけでなく、態度で示さないと、ダメなんです。
…海部町では、いろんな人がいてもよい、いろんな人がいたほうがよいという考えが態度で示されることにより、その者は周囲からありのままの自分が受容されているという感覚をもつことができる。
…地縁血縁の薄い共同体であった海部町が、自分たちの生活を脅かす危険をいかに回避するか…知恵を出し合い試行錯誤し、行き着いた方策が、この「弱音を吐かせる」というリスク管理術だったのだろう。
▽126 人なつこい。おしゃべり好き。周囲の人や世の中に対して興味津々であり、噂話で盛り上がったかと思うと、同じ速度で冷めて、そして飽きる。
統制されるのが嫌い。…赤い羽根募金のような「わけのわからないもの」には100円たりとも投じたくないと言い張って役場の担当者を困らせる。…年齢が上だからといって自動的に偉くなるとは思っていない心の内がばれている。お上を畏れていないことも、ばればれ。
▽128 ほかと比べて、…合理的に判断する。損得勘定が早い。頃合いを知っていて、深入りしない。愛嬌がある。
…海部町の人々は、人間の「性」や「業」をよく知る人々である。
…「助けを求めよ」と言葉によって人をさとすよりも、人が「助けを求めやすい」環境をつくることに腐心してきた。
▽132 海部町は海沿いの平坦な土地で、コミュニティの物理的密集度が高い。A町はけわしい山間部で、民家は小さな集落を形成して広域に散らばっている。社会資源へのアクセスがよくなtかったところへ急速な少子高齢化と過疎化が相まって、学校や診療所など、閉鎖や統廃合される施設も覆い。
→地理的特性は、自殺率になんらかの影響を与えているのではないか。
▽134 旧市町村のデータ。平成の合併で入手困難に。(合併によって地域の問題が隠れてしまう〓)
…海部町とA町は同じ徳島県なのに、自殺率に大きな格差がある。実は徳島県は都道府県のなかでは自殺率が低い。だから自殺対策に力を入れねばという発想が希薄だった。都道府県統計だけを参照していたのでは意味がないと私が強く主張するのは、こうした認識のずれが生じた結果として、行われるべき対策の実施が遅れることを懸念するからである。
▽138 自殺率 人口規模の小さな町村の自殺率は、長期間のデータを参照する必要があった。
最良のデータは、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所からの委託により「大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所」の教授が作成したもので、データセット自体もその研究所内に保管されていた。
1973年から30年間の全国市区町村の、その年ごとの人口、十歳年齢階級別人口、その年ごとの自殺者数、十歳年齢階級別自殺者数…を厚生労働省の記録から集計し、個人情報を取り除いた上で整理した大規模なデータセット。
▽139 データクリーニング データセットの点検と整備。統計解析の専門家たちは、解析にかける全工程のうち大半をこの作業にさくという。…やっと全国市区町村の人口10万対自殺率や標準化自殺死亡比が算出できる状態になった。
▽143 地理的特性の指標が国土地理院などにはなかった。自分で新たな指標をつくる。人が住んでいる場所の指標がほしいから、「人口密度」ではなく、「可住地人口密度」が望ましい。総面積から森林や湖沼を除いた面積。同様に、土地の高低や傾斜を表す指標についても「可住地標高」や「可住地傾斜度」をつくりたかった。
▽148 同じ標高でも、傾斜がちがうと環境は異なる。そこで、土地の「傾斜」を示す指標を新たにつくることに。国土地理院の提供する「建物外周線データ」をつかって、すべての建物の中心点直下にある土地の傾斜を抽出し、総計を求めた上で建物数で割り戻す。この市区町村ごとの平均値を「可住地傾斜度」と名付けることに。
▽152 …解析の結果、自殺率にもっとも影響をあたえていたのは「可住地傾斜度」であり、次いで「可住地人口密度」「最深積雪量」「日照時間」「海岸部属性(海に面していること)」の順であった。
…日本の自殺希少地域の多くは「傾斜の弱い平坦な土地で、コミュニティが密集しており、気候の温暖な海沿いの地域」に属していると解釈できる。日本列島を取り巻く海洋を五つの海域に分割した場合、希少地域は、太平洋沿いの自治体にもっとも多く存在することがわかった。
多発地域の特徴は…「険しい山間部の過疎状態にあるコミュニティで、年間を通して気温が低く、冬季には雪が積もる地域」に覆い。
▽156 「間接的影響」こそが自殺対策の鍵である。
…長年厳しい自然環境の中で生きることによって、克己心や忍耐を固着させ、世代を超えて継承されている状況を、地理的特性がもたらす「間接的影響」として分類。
▽161 海部町は、サロン機能を持つ場、社交場所が多いことに気づく。特に有名なものとしては「共同洗濯もの干し場」〓(振り売りも)
「みせづくり」と呼ばれる建築様式の住居。海部町に残っているみせづくりの数は四国でもっとも多い。家の壁に外に向かって取り付けられた板戸を上げ下げする仕組み。……かつてはその「みせづくり」の板を下げて路地に陳列台として利用されることが多く、これが近隣住民の格好のサロンになっている。…「夕涼みサロン」
海部町には寺や神社が多い。海部町の面積あたりの件数は海部郡に比較して3倍以上。少し歩くとすぐに寺に行き当たるというイメージ。
…海部町は「サロン機能」を多く有するコミュニティ。
コミュニティがけいしゃの弱い平坦な土地の上にあり、複数の社会資源がコンパクトかつ集中的に配置されていて、それらをいくつか巡ってもさほど労力と時間をとらずにすむ。…サロン機能をもつ場は、この町の地理的特性があったからこそ、利用が促されてきたのである。
▽176 自殺希少地域も多発地域も、「町の特徴」を尋ねると、答えの内容は似通っている。特に強調されるのが、地域の助け合い、すなわち「絆」である。
多発地域にも同じように「絆」や「つながり」があるのだとすれば、それらは必ずしも自殺を抑制する要素として機能していない、ということになる。
…海部町では、隣人とは頻繁な接触がありコミュニケーションが保たれているものの、必要十分な援助を行う以外は淡泊なつきあいが維持されている様子がうかがえた。多発地域A町では、緊密な人間関係と相互扶助が定着しており、身内同士の結束が強い一方で、外に向かっては排他的であることがわかった。…緊密な絆で結ばれたA町のほうがむしろ住民の悩みや問題が開示されにくく、援助希求が抑制されるという関係が明らかになった。(水田地域と漁村との違いは? 阿蘇で自殺が多い理由 寺の多い金蔵は少ないか)
「人との絆が自殺対策における重要な鍵」という通説。通説は、人々の志向を鈍らせるという副作用がある。それが耳ざわりがよいメッセージである場合にはさらに用心すべきである。
▽180 海部町の住民幸福度は、近隣3町のなかでもっとも低い。「幸せ」と感じている人の比率がもっとも小さい。一方で「幸せでも不幸せでもない」と感じている人の比率はもっとも高い。「不幸せ」と感じている人の比率はもっとも低い。
…海部町の人々には執着心というものがあまり感じられない。艱難辛苦を乗り越えてでも、という姿をイメージしにくいのである。
…「幸せ」であることが必ずしも大切なのではなく、なんらかの理由により幸せを感じられなくなったときの対処の仕方こそが肝心なのである。
▽189 江戸時代、移住者によって短期間につくられた海部町。権威が確立されておらず、指示系統も統制機構もない。(ニカラグアや内戦のバルセロナ、あるいはメキシコ)
▽194 「誰に投票するかは、個人の自由や。人に強制やしたら、野暮なことやと言われる」。…この町の人たちは周囲から「野暮な奴だ」と言われることを最大の不名誉のひとつと思っている。
…個人の自由を侵し、なんらかの圧力を行使して従属させようとする行為を食い止めたいと考えた。…次にとった行動が、そうした行為に「野暮ラベル」を貼ることだったのでは。野暮ラベルは、いわば魔物を封印する御札のようなもの。
「野暮ラベル」によって封じてきた行為はいずれも、生き心地がよいと感じられるコミュニティをなすのに妨げとなる要素であったはず。
野暮ラベルは、海部町コミュニティにおける公平水平な人間関係、弾力性の高い合意形成のプロセスがあったからこそ、長年にわたり魔除けの札として活用されてきたと考えられる。
▽ 統計数理研究所教授の椿広計先生。
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