鈴虫

鈴虫

猛暑もようやく一段落。
近所の仕出し屋さんにさんまを買いに行く。
すると棚の下から「リーン、リーン」と涼しげな鈴虫の声が…。
のぞき込むと、そこには大きな虫かご。
その広さが武家屋敷とするなら、
しつらえの美しさは枯山水の庭園のよう。
「さすが料理屋さんは鈴虫のおうちまできれいに整ってますね~!」
若大将は
「いやあ、この暑さで今年は卵がかえらず、この子たちはお嫁に来てもらったんですよ」
だって。
こんなおうちにお嫁に来た鈴虫さんは幸せだ。
…と感心しながら、自分の子供時代を思い出した。
仕出し屋さんの鈴虫が家庭画報に出てくるようなご家庭なら、ウチはネグレクトのゴミ屋敷。
いや、巨大なオブジェのようなエサは、大阪市公営局のハコモノといったところか。
格差問題は具体的な比較によって、はじめて表面化するのであった。

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