なんにもない、がある街

前の職場の人達が松江に遊びに来てくれた。
「松江ってなにがあるんですか?」と聞かれて、はた、と困った。
宍道湖・シジミ・松江城・和菓子・日本海の魚……。
もひとつパッとしたものが思い浮かばない。
幸か不幸か、バブルやグローバリゼーションから取り残されたお陰で、シブい店がまだ残っている。
文房具屋・印鑑専門店・布団屋・時計店・仕出し屋がなぜか多い。
おばあさんが鼻緒をつけた下駄屋さんの下駄は全然痛くならないし、
万年筆屋のおじいさんはぴったりのものを選んでくれる。
コンビニが少なく、スタバはもちろんドトールもないから、個人経営の喫茶店も健在。
タワーマンションもないから空はひろい。
新しいお店もあんまりできないから、情報に振り回されず、
なじみの店の人と仲良くなれる。
これからは、なにがある?って聞かれたら、
「なんにもない、がある」とでも言おうか。

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