森達也さん講演会

森達也

 奥出雲の「ブックカフェ」に、森達也さんの講演を聴きに行った。
 以前見たときは、アロハシャツに短パン。今日の出で立ちはよれよれのジーンズにざっくりセーター。まさに「森クン」という感じだった。モテるんだろーなー。
 実際、この山奥まで講演会のために、東京や九州から「追っかけ」も来ていた、とか。
 質問コーナーでは、2人の男性が尖閣や竹島の「領土問題」について見解をもとめた。
 森さんは「土地はあげちゃったらいーんですよ。ただし、いろいろメリットを交渉して。これが外交だと思う」。
 「土地をあげちゃっていい」と、あまりにもあっさり言ったので、会場の空気が一瞬凍り付いた。
 島根には竹島条例があり、(関心がある人にとっては)身近な問題であることや、保守的な土地において、「講演会」とて、「森達也」を知らない人がほとんどであることを意識してなかったのだろう。(もっとも聞き手を意識して物を言うような森さんでないだろうが)
 森さんの「KY」が、とても刺激になったのでは、と思う。
 総じて女性の反応はよく、ジョークにすぐ反応してたのに対し、オトコたちは「鳩に豆鉄砲」状態だったのがおもしろかった。
 質問の時に誰も名前を名乗らないのも、土地柄かな?と思った。
 森さんは「厳罰化」に対し、被害者への「過剰な忖度」という見方を示してくれた。
 「メディアリテラシー」を単に「メディア批判」としてでなく、「メディアはウソをめったにつかない。自分たちがもっとも欲するセンセーショナルな刺激を与えてくれるにすぎない」といい、それよりも「自分たちが多様な物の見方を身につけること」と強調したのは、制作者として説得力があった。
 講演の途中、選挙運動で近くを回っていた現職の知事が顔を出した。
 「ただいま知事があいさつにまいりました!」と秘書が露払い。
 会場は一斉に振り返る。
 「あなたが館長さんですか?」と、にこやかに近づく知事に対し、
 「いや『店長』です。なにかご用ですか?」とあからさまに不機嫌な顔で対応する森さん。確かに話の途中、失礼だ。
 知事が来れば反射的に拍手で迎えてしまうところ、森さんの対応で会場は我に返ったように、打ちかけた手を戻した。

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