映画「蟻の兵隊」上映会

 終戦時、当時の山西省は日本軍が降伏した中国国府軍は不在で、中国共産党軍の勢力範囲にあった。
その後、国府軍が到着したが、勢力は弱小だったため中国山西省に駐在していた日本軍は、国府軍に協力する事態になった。日本軍ならび在留日本人多くは無事帰国復員できたが、澄田中将によって編成された帰国者を守るための後衛尖兵は、共産軍の鉄道破壊によって唯一の交通手段をたたれ、国府軍の要請もあってやむなく内戦に巻き込まれる。
その結果、2600名のうち、約550名が戦死。
多くの犠牲者をだし、太原落城とともに全員捕虜となった。
しかし帰国してみれば、「後衛尖兵」は「命令違反者」または「現地除隊」として処理されていた。
「軍命でなければ残るはずがない。軍隊では上官の命令が絶対なんです」
「国のため」を信じ、「上官の命令」を信じ、蟻のように休みなくただひたすらに与えられた任務を遂行した者に対する国の措置。
残留期間をくわえないと軍人恩給の在職期間に満たない戦友らが抗議の声を上げた。
後衛尖兵は第1軍の命令であったことを証明する命令書を添えて厚生省に10年間陳情し、提訴したが、平成19年9月最高裁で棄却される。

戦争が終わったのに、戦死者が出ていたことを初めて知った。
終戦後も「日本軍」が武装しているのは、「ポツダム宣言」違反。
国にとっては都合の悪いことなので認めたくない。
天皇の任命責任も問われかねない。
2.26事件でも上官は罰せられず、下の者が処刑されたのも任命責任があるから。
初年兵だったおじいさんの話。

きもだめし」だと言われ、銃剣で中国人を突く。
怒りの目でひとこともしゃべらない。こわくて目を見れない。
上手に心臓を突くように、とシャツの胸をはだけるんです。
最終試験、総仕上げの場所でした。
もし戦争に負けていなければ、今度はわたしが初年兵を教育していたでしょう。
その向こうで私の行動を見ている人がいた。
その人に会って当時のわたしの状況がどんなだったか聞きたい。
おじいさんはふたたび中国の戦場を訪れる。
10代の時に日本軍に強姦されたおばあさん。
「昔悪いことしても、好きでやったわけじゃないんだから。あなたも強いられたこと」
殺した人数ではない。軍隊とはなんぞや。
自分がしなかったから、という問題ではない。
「軍」というものの問題。
「日本軍」に帰るところがある、と思わせる軍隊教育。
事実を明らかにしたい、と訪ね歩く。
「私は本当の地獄を見てきた。戦争を知らない初年兵ごときが知る必要がない」と突っぱねられた。
墓場まで持っていく人がいくらでもいると思う。

会場には訴訟の代表者である藤田さんもいらっしゃる。
「証拠もこれだけあるのに普通なら勝訴です。だけど、そうならない。司法がおかしくなっている。こんな時代は気をつけた方がいい。軍人恩給の問題はいまの年金問題と一緒。小泉首相は『人生いろいろ、会社もいろいろ』とか言ってましたね。政治家がおかしなことを言い出すのはかなり危ない状況です」

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