■20200812
ブラジルに住む78歳の老ウルグアイ人エルネストが主人公。
妻に先立たれ、ポルトアレグレのアパートにひとりで住んでいる。目が悪く、遠くに住む息子からは同居を勧められているが、かたくなに断り、隣に住む同年代のアルゼンチン人と励まし合いながら老境をたんたんと生きている。
そんな彼のもとに、古い友人の死を知らせる手紙が、友人の妻ルシアから届いた。ルシアもまた古い友人であり、実は恋仲だったこともあった。
偶然知りあった23歳の女の子ビアに手紙をかわりに読んでほしいと依頼する。彼女は以前の恋人に多額の借金をしており、エルネストの家からカネをくすねる。エルネストはそれに気づきながら知らないふりをする。
エルネストはビアのまっすぐさに刺激を受け、現代っ子のビアは、気持ちを伝え合う「手紙」に心を動かされる。
すべてが終わり、死を待つばかりだった人生の歯車がもう一度まわりはじめる……。
老人と若い娘の恋愛物語に終わらないのがよい。
ウルグアイから亡命した詩人マリオ・ベネデッティの「Porque cantamos」「Tregua」といった詩もよかった。
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