■北マケドニアの映画 20200708
北マケドニアの山間の村で、自然養蜂を営む中年の女性が主人公のドキュメンタリー。
主人公は寝たきりの母と粗末な家に住みながら、自然のハチミツを採取して暮らしている。蜂の巣を開け、蜜をとるときは「半分は私に、半分はあなた(ハチ)に」と語りかけ、半分はハチのために残す。その心がけがハチや自然との共生を成り立たせる秘訣だった。貧しくてさびしいけれど、大地とともにある暮らしだった。
その彼女の隣にある日、キャンピングカーとトラックに乗った一家がすみつき、養蜂と放牧をはじめる。主人公が「半分は残しておくんだよ」と言うのを聞かず、都市の商人の求めるがままに大量のハチミツを出荷し、大事に守っていた川縁の木のハチの巣もすべて奪い取ってしまう。その結果、ハチはいなくなり、一家はまた轟音とともに去っていった。
昔ながらの生活が、資本主義によって蹂躙されるという単純なストーリーなのだけど、映像の美しさと、さみしげだけど孤高な誇りを感じさせる主人公の姿が魅力的だった。孤独でも、あれだけ誇り高く暮らせたらいいなあと思わせられた。
老母も亡くなったあと、彼女はひとりでどんな暮らしをしていくのだろう。
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