20060611
イラクで人質になった3人が、日本国内で猛烈なバッシングにあった話にヒントを得てつくられた映画。
ネットや電話による嫌がらせや脅迫によって主人公の女性は追いつめられ、勤め先をやめさせられる。
心臓がバクバクして、呼吸が細くなり、手足がふるえるような、
そんな気持ちは、映像から痛いほど伝わってくる。
主人公の父も、30年勤めた会社をクビになり、酒におぼれ、自殺してしまう。
そのへんから、次第に違和感を感じはじめる。違和感はしだいに確信にかわる。
たしかにバッシングはつらい。身を切られる。
だけど、戦乱の国でボランティアまでしていていた女性が、まったく国内に仲間が見いだせず、
完全な孤独に沈むなんてことがあるだろうか。
いじめる側(恋人を含む)だって、もう少しためらいがある人がいるんじゃないのか。
真正面から相手の目を見て、あんな露骨ないじめをできる人はそうは多くない。
ちょっとデフォルメが過ぎたなあ、人間の見方が浅いなあと思った。
・主人公の女の子の演技は胸に迫ってきた。
・父親役は自死を考えるほど深刻だという緊迫感が伝わってこなかった。
・苫小牧を舞台にした、殺風景などこかすさんだでも生活感のある映像はよかった。
・最後、継母と和解する場面は泣けた。
・「あの国の子の笑顔がすばらしいから」と言ってもう一度旅立つ、という結論はちょっといただけない。
戦乱の国に旅立つ結論はいい。
でも、「笑顔がすばらしい」程度の理由でボランティアをつづけたわけではないと思うのだが……