若い人ならば、日本語をしゃべる人がいる、という驚きを感じるだろう。
ワサビ醤油で刺身を食べて、日本から伝わった方法で漁をして、正月の食卓にも刺身が並んで……。
日本と沖縄と中国の影響も受けた重層的な文化と、山に住む少数民族の伝統文化も残っている。台湾のチャンプルー文化っておもしろそうだな、と思えた。
それぞれの素材はすばらしい。でも、ちょっと総花的だった。
正月の食卓にならんだ料理をもとに、沖縄や日本、山岳民族の食材をたどるような展開だったら引き込まれたろう。
鹿を撃ちに夜の山にのぼり、内臓をその場でナマで食べるのは、日本の影響だったのか、先住民族の文化だったのか……。
突きん棒漁が日本から伝わった背景は何だったのか……。
一人の主人公を通して描く形にすれば、もっとまとまりができたのに…という気もする。
直前に見た「おくじらさま」の完成度が高すぎたからだろうけど、のめりこむのには何かがちょっと足りなかった。
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