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エルネスト

 オダギリジョーの演技がすばらしい。ゲバラが広島を訪れる場面からはじまり、一転、ボリビアの青年たちがキューバに医学を学びに留学する場面に飛ぶ。そのなかに日系人のフレディ前村もいた。「自由の国」キューバに来た初々しい留学生たちが、政治活動に目覚め、クーデターでできたボリビアの独裁政権を覆す運動にのめり込む。
 そしてチェの率いる部隊へ。
 別れを言えないまま、恋人宅で最後の時をすごす。永遠の別れを覚悟しながらすごすふだん通りの夕食の場面は、ひりひりするような時間の流れが伝わってくる。
 そして、祖国ボリビアで無残な運命が待ち受ける。
 ボリビアでの少年時代、主人公は貧しい家に食料などを恵んであげていた。そして、貧困をなくすためにゲリラになった。だが、味方であるはずの貧しい農民に裏切られて部隊は全滅する。軍の兵士のなかに、食べものなどを恵んでいた少年が兵士のなかにいた。「こいつは金持ちのボンボンで偽善者だ」となじられ、射殺された。
 このエピソードが実話かどうかはわからないが、ゲバラの日記にも、本来味方であるはずの庶民の密告で仲間が殺されていく場面は描かれている。ヒリヒリとして、見終わるとどっと疲れる名作だった。

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