フィリピンが舞台で、イタリアの配給会社で、日本人の監督という異色の組み合わせ。
日本人の監督がフィリピンのスラムを描く、という時点で期待していなかったが、よい意味で裏切ってくれた。
路上でひとりで生活する少女ブランカは、有名な俳優が養子を「買う」のを知って、自分は母親を買おうと思いつき、盗みでカネを貯める生活を送る。
道端でギターを弾いている盲目の老人ピーターと出会って、歌をうたい、バーの舞台に上がる。このまま成功への道を歩むのかと思ったら……、貧しいもの同士のねたみや裏切り、少女売春のわなが待ち受ける。
彼女が必要とする「ファミリー」とは何だったのか。それを知ったときには、それははかなく消えていってしまうのだ。
切ない話なのだけど、主人公ブランカの明るさとかわいさ、ピーターのつまびく音楽の悲しみを帯びた優しさに救われる。
いい映画なのに、観客が少ないのがもったいない。
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