21世紀に生きる君たちへ vs. 太陽の子

 子どもの自殺やいじめが問題になっていることの影響か、
10年くらい前に出版された司馬遼太郎の「21世紀に生きる君たちへ」という本が今再び売れているらしい。
もっとも、新聞の広告欄に載っていたので、
「売れている」のか、「売ろうとしてる」のかわからないけど。
 人からもらったのがウチにあるので読み返してみたけど、自然に畏敬の念を持とう、みたいなことや、晴れ上がった空のように高々とここをを持とう
みたいな、特にありがたがるほどのことは書かれていない。
 他の民族へのいたわりの気持ちを持とう、ってところはイケてるけどな。

 灰谷健次郎が死んだ。
「太陽の子」と「兎の目」しか読んだことないけど、
私の好きだった頃の神戸が、作品に生き生きとよみがえる。
「ふうちゃん」のお父さんがなくなってしまうシーンは何度読んでも涙が出てしまう。
キヨシ君やギッチョンチョンのぶっきらぼうな優しさも大好きだ。
 こうやってみると、司馬さんと灰谷さんの作品は正反対の性質のように思える。
「志を高く持とう」みたいな歴史小説より、傷ついた人たちの優しさをえがいた小説の方が、仮にフィクションであっても、私には真実に近い気がする。

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