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秋の隠岐1 西の島浦郷国賀

境港出港

 24年ぶりの隠岐だ。境港で海鮮丼を食べ、フェリーに乗り込む。
 外海にでて美保関灯台を左手にみるようになると、船は上下にゆれはじめる。
後方には大山の雄大なかたまりがある。かつては航海の目印になったのだろうな。
久しぶりの船旅は心地よい。
船室にこもっているのがもったいなくて、甲板で缶ビールを飲む。

別府入港

 約3時間。隠岐の島前のかつてのカルデラの内側にはいると、急に揺れがおさまる。
西ノ島の焼火山は後鳥羽上皇の船が航海の目印につかうことで遭難をまぬがれたという伝説がある。
その焼火山のふもとの無人の小さな入り江に文覚窟があり、ここで1986年に「サバイバル」をしたのだ。
たぶんあの入り江だろう、というところには養殖の筏が浮いている。
 まもなく別府港に入港する。ここも覚えている。立派な建物のターミナルはたぶん最近できたものだ。
24年前に着いたのは別府だったか西郷だったか。
船を下りると目の前に、サバイバル中であるはずのSたちがいて驚いた。
ぼろぼろのリュックを背負って真っ黒に日焼けしていた。マムシを恐れて脱走してきたのだった。

浦郷の夕方

 別府から国賀荘までバスに乗ろうと路線バスで待っていたら、旅館のおばさんが来てくれた。
2車線の立派な道はつい最近できたという。
路線バスがとおる運河をまたぐ旧道だと20分ほどかかるが、新しい道ならば7分ほどで浦郷に着く。
「このトンネルは今年開通しました」などなど、道路はかなり便利になっている。
ここまでの道が必要なのか?とも思うが、どこまでを無駄な公共事業と言うべきかの境界は微妙だ。
 浦郷の町を見下ろす高台に「国賀荘」はある。立派な建物。
突然の予約だから夕食はできない。眼下の浦郷の町へ。ここも覚えている。だが港の目の前の広い道はなかった。大きな公民館もなかった。


浦郷の街

 海辺の古いビルは漁協。西ノ島町役場は裏通りに面したそまつな建物だ。
いかに漁協が力をもっていたかがわかる。
 ガイドマップに載っていた食堂のほとんどはやっていない。シーズンオフだと土曜日でもやらないのかぁ。

白いかのフライ

宿で教えてもらった港の目の前の「あすか」は開いていた。1000円の定食はなかなかのお値打ち。
イカフライ定食もおいしかった。

浦郷の朝

 午前6時半起床。リュックを背負って午前8時にでる。
 西郷港、朝の景色は20年前を思い出させてくれる。サバイバルが終わって漁船で着いたのがこの港だ。その面影はある。
海辺の2車線の道路と、港にある立派な公民館は以前はなかったと思う。
浦郷鳥居

 西へ歩く。イカの豊漁を祈ったという神社がある。小さな湾は「イカ寄せ浜」と言われ、季節がくると、手やザルで拾えるほどのイカが押し寄せたという。神社のわき。ベニヤ板か金属板かでできたイカのかざりものが無数につられている。森のなかをみると、巨大なイカがゆらゆら。ギョッとする風景だ。イカをぐるぐる回転させて干している家もある。

イカ寄せ浜由良湾神社

イカ寄せ浜由良湾鳥居

 畑のなかの道をのぼりつめ、反対側におりると国賀の浜だ。
なつかしい断崖。もう24年前なのかぁ。早いなあ。あと24年たったら老人だよなあ。時間って残酷だ。
 あのときはサバイバル帰りで大きなリュックを背負って歩いた。
飲料水が足りなくて、自販機もなくて、のどがかわいてしかたなかったのを思い出した。
だからペットボトルのお茶を買った。
国賀摩天崖1

 国賀のバス停の終点からは、ごつごつと海からつきでる岩の風景がのぞめる。
黄緑の草地と群青の海と海から突き出る岩の無機質な色と……。
 ここから摩天崖まで1時間という。すぐ近くに見えるがけっこう距離はあるのだ。
いったん海に降りる。昼寝をしたくなるような浜。
そこからはどんどんのぼる。放牧の柵を抜けると、草原は一面、糞だらけ。国賀摩天崖

 牛がのんびり草をはむ。親子二頭仲むつまじい。その結果が糞だ。
 景色はすばらしい。糞さえなければ草原で横になりたい。

国賀摩天崖

 昔この一帯は「牧畑」だったという。放牧と畑作をくり返していた。そんな時代はもっと島に活気があり、自給自足がなりたっていたのだろう。今は自給用の畑などほとんど見かけない。カネになるのは牛と魚だけなのだろう。かなしいけれど、ほかの手段は思いつくものではない。
牛の糞と潮風によっておいしくなる野菜って、なにかあるかなあ。
国賀摩天崖

 10時すぎ、標高290メートル?の摩天崖に到着する。いい散歩道だった。徒歩でないと、国賀の景色のよさはわかるまい。
 そこからは尾根道の舗装道路を4キロちょっとくだらないといけない。舗装ではあるが、糞だらけ。

 

国賀摩天崖うんこ

 眼下にイカ寄せ浜が見える。

上から見たイカ寄席浜

 木造のログハウス風の町営住宅があり、駐車場が満杯のパチンコ屋のわきをとおり、イカの神社の手前に着いた。

別荘風町営住宅?

 シーカヤックは「風が強いですよ」と言われる。水着ももってきていないし、ということであきらめる。
お茶をのんで休んでいたら、バスが来る。「のっちゃえ!」

バイパスになった橋

 旧道をたどるから運河の上を通過する。焼火山ものぼってみたいな。というよりもう一度文覚窟にいきたい。
 別府。「ふるさと……」という港の食堂にはいる。「とれとれ丼」700円はアジやら鯖やら鯛やら、おいしい。
煮魚定食は30分ほどたったころにようやくでてきた。鯖の煮物がおいしい。
 「うんがつきます」というTシャツ、「あそこに行った人にしかわかれへんな」

うんがつくTシャツ

 12時50分の船に乗る。知夫里島へ。
 文覚窟の目の前をとおる。おおおおお。

内航船に乗る

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