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遍路⑱雨は修行? 久礼~佐賀温泉20200214

 相部屋の男性から「山道はいっしょに歩きませんか」と言われ、なりゆきでしばらく同行することに。「うちの女房は……」という話は修行と思おう。
 6時20分にゲストハウスを出発。昔歩いた大坂の遍路道をたどる。

 川沿いの小径で、ウグイスの声を今年はじめて聞いた。黒竹の産地を経て、7時20分に峠への山道に入った。

 一部道が崩れていたが、30分ほどで国道の音が聞こえはじめ、8時10分にあっけなく七子峠に着いた。

 「ナナコやて! 松嶋菜々子や。私にぴったりの峠や」とはしゃいでいた。
 峠道の途中から雨が降り出した。本降りになりぐんぐんペースがあがる。
 影野から左の旧道に入るが、農村風景を味わう余裕はない。JRの高架下で休憩し、カッパのズボンをはいた。ブドウパンをかじりながら雨中を歩く。

 10時35分、「道の駅あぐり窪川」に着いた。ここのアイスはおいしかった記憶がある。11時過ぎたら小降りになるという予報だから、レストランで「朝カレーセット」(750円)を食べた。名物のトロトロにとろけた豚肉が入っている。
 雨で体が冷えていたが、暖房の室内でだいぶあたたまった。
 小降りになり11時25分に再出発。30分ほどでまちに入ったと思ったら、窪川駅だった。

 都築邸という豪邸や谷干城という軍人の像がある。門前町風の商店街は昔と変わらない。果物屋と和菓子屋のある角を左に入ると岩本寺の山門だ。

 緑の山を背にした寺は静かで落ち着いている。

 本堂の天井は無数の絵が飾られている。子供の落書きのようなものから、本格的な作品までよりどりみどり。マリリンモンローもいる。

 昭和50年頃、本堂を改築したときに作品を募り、ベニヤ板に描いてもらったらしい。当時の住職はこの3月に引退し、若い住職が就任する。
 納経所の女性は愛想がよい。「私も少しずつ歩いているんです。夕方になるとロボットみたいな歩き方になってしまいます」と言って笑っていた。
 人々から募った絵を本堂に飾る、という発想があったから、新しい本堂だけど親しみを感じられるのだろう。

 12時47分に出発。しばらくして国道をそれ、「環境美化センター」を突っ切って山に入る。杉や竹林などの下りの山道はけっこう長くて歩きがいがある。

 30分後、平地の国道におりた。暑くなり、下着の長袖シャツだけになって歩いた。
 15時5分、「佐賀温泉こぶしのさと」に到着した。
 「お遍路パック」2食つき8000円という格安プランだから、食事は少ない。でも、広くてきれいな部屋でくつろぎ、温泉につかれるのはありがたかった。
 歩行距離は31.4キロ。

 四万十川河口の下田渡しはかつて市営だったが今はボランティアで運営しているため、前日か前々日に予約する必要がある。遍路のほとんどは四万十大橋を渡るという。(つづく

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